霧島マナの日記 鋼鉄のガールフレンド

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-ゲンドウの秘密?-

ゲンドウの秘密?

  「ぜったい怪しいわ……」
    アスカさんがそう言ってるのが聞こえた。
    教室はがやがやしている上に、アスカさんの声が妙にひそひそしているのでよく聞こえない。

    見ないフリをしながら目の端っこでこっそりと声のする方を見ると、
    どうやら彼女はシンジ君になにやら耳打ちしているようだ。しかも、私の方を見ながら。

    ドキっと心臓が鳴る。

    そう、私、霧島マナは、戦略自衛隊がネルフへと送り込んだスパイ。
    エヴァパイロットであるシンジ君やアスカさんに近づいて、
    ネルフの内情を調べるのがお仕事なんだけど。
    バレちゃったかな?


    目があった。


    つかつかとアスカさんがこちらへやってくる。
  「霧島さん! あんた、ネルフのこと探りにきたんでしょ!」


    う、図星。


  「なんのこと? シンジ君たちがやってることに興味あるのは確かだけど」
    我ながらうまくかわした。

  「ふん、まあいいわ。あんたの化けの皮はいつかはがしてやるから」
    アスカさんは腰に手を当て、不敵な笑みを浮かべつつ言った。

  「とにかく、あんたも協力しなさい」
  「……へ?」

    アスカさんの言うには、ネルフの碇司令、つまりシンジ君のお父さんが怪しいのだそうだ。

    あのヒゲといい、サングラスといい、怪しいというのには思いっきり同意だけど、
    その内容というのが、国際的な陰謀でもなければ隠し資金でもなく、
    カツラ疑惑だというのだからずっこけてしまう。

  「いっつも同じ髪型だし、帽子もかぶらないし。あれってぜったいカツラよ」

  「でも、それは個人のプライバシーじゃないのかな?
    カツラかぶってても別に犯罪じゃないし……。私たちには関係ないよね」
    一応、反論してみる。

  「あんた、バカぁ? 関係大ありよ!」
    アスカさんはそう言うと、急に向きを変え、

  「特にシンジ、あんたにね!」
    と、矛先を変えた。

  「なんで僕に関係あるのさ……」

  「ハゲってのは遺伝するの。お父さんがハゲなら、あんたもハゲる可能性大ってことよ」

  「そうかなぁ? もしそうだとしても、僕は気にしないよ」

  「あんたが気にしなくても、あたしが……」
    アスカさんはそう言いかけて、ちょっと赤くなった。

  「……なんにせよ、確かめるのが先ね。霧島さん、なにか方法考えて」

  「え、私?」

  「そう、餅は餅屋って言うでしょ。スパイはスパイよ!」

  「う、うん……」
    私はアスカさんの気迫に押されて、スパイであることを否定もせず、つい頷いてしまった。

    翌日。ネルフ食堂。
    アスカさん、こっそり潜り込んだ私、綾波さん、そしてペンペンの3人と1匹で
    隅のテーブルに向かい合って座った。
    綾波さんはアスカさんが無理矢理連れてきた。
    一方、シンジ君は「父さんの惨めな姿は見たくない」と、帰ってしまった。


    さて、私の案じた策は……
    ペンペンに一肌脱いで貰う、というもの。

    碇司令がカツラ愛用者かどうか確かめるには、引っ張ってみるしかない。
    でも、人間がそれをやると、どうしてもカドが立つ。
    そこで、単なるどーぶつであるペンペンの出番というわけ。

    さらに、そのペンペンを碇司令の側に連れて行くのは綾波さん、
    という二段構えの作戦。
    大の男がペンギンごときに怒りをあらわにすることはないだろうし、
    まして、それを連れているのが日頃から碇司令にひいきされている綾波さんなら、
    絶対怒られることはない、はず。

    綾波さんは、意外にもこの役を快く引き受けてくれた。
    やっぱり彼女も碇司令がカツラかどうか気になるのかも。


    そうこうしているうちに、時間は正午過ぎ。
    私の調査通り、几帳面な碇司令は食堂に現れた。

    綾波さんとアスカさんが目礼すると、うむと頷く司令。
    私は本来部外者なので、見つからないように物陰に隠れる。

  「鯖の味噌煮定食」
    碇司令が苦虫を噛みつぶしたような顔で言う。
    出た! 鯖の味噌煮定食。世のオジさんたちの大好物。

  「ライス大盛り、味は濃いめにしてくれ。
    それから、サラダはマヨネーズ抜きで」

    不機嫌そうな割に、注文が多い碇司令……。



    そこへ、綾波さんがペンペンをだっこしておもむろに近づく。

  「クェック、クワッ!」
  「痛っ! なにをする!」

    ペンペンは、かねてから言い含めていた通り(なぜか私はペンペンと心が通じるのだ)、
    碇司令の髪の毛をクチバシでくわえると、したたかに引っ張った。

    あっ、カツラがずれ!…………ない。

    なんと、髪の毛がむしれてしまい、哀れ碇司令は、いわゆる十円ハゲができてしまった。
    ペンペン、やりすぎ。

    ペンペンを抱きかかえているのが綾波さんだと気づいた碇司令は
    憤懣やるかたない様子ながら、
  「レイ、本部に動物を連れてきてはいかん」
    とだけ言った。十円ハゲを手で押さえながら。
    
    やっぱり綾波さんには強く出られないみたい。

    それにしても、碇司令には気の毒なことをしたなぁ。

    でも、シンジのお父さんがハゲじゃないと分かって良かった。
    いや、十円ハゲは出来てしまったけど、
    これは器質的損傷であって遺伝しないから大丈夫。そのうち直るでしょ。

    アスカさんも綾波さんも、シンジ君がハゲる心配はない、と、ひと安心みたい。

    でも、私は知っている。ハゲは隔世遺伝なのだ。

    つまり、碇司令がカツラであろうとなかろうと、シンジ君自身には関係ない。
    関係あるのは次の世代。

    もし、アスカさん、綾波さん、私のうち誰かとシンジ君が……

    そこまで考えると、なんだかドキドキして、頬がほてり始めた。
    あーはずかしい。でも、まぁ、先のことは分からないし。

    思わず想像してしまった私とシンジ君の未来。
    だけど、それも悪くないかな。
    なんてね。

    (了)

written by Adrienne ◆HI8ebVe8lo