-第一部-
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時々、戦自時代の夢を見る。 昨夜も見た。 内臓を痛めつけるほど苦しいトライデントの操縦訓練。 倒れたことは一度や二度ではなかった。でも、仲間がいたから私は生きてこれたんだと思う。 あの頃、仲がよかったムサシやケイタも夢に出てくる。…………顔がぼやけているけどね。 それはともかく、今日はヒカリちゃんと一緒に図書館で勉強をした。 と言っても、ほとんど冬休みの宿題を写させてもらっていたんだけどね。 それが終わってから、マクド(最近、この呼び名が気に入ってまーす)でちょっとおしゃべりした。 いつになくヒカリちゃんは話をたくさんしていて、私はマックシェイク(チョコ)を飲みながら それを聞いていた。と、そんな時に、急にヒカリちゃんは声を顰めて、 「マナちゃんは、……キスしたことある?」 私はあまりのことにシェイクを気管支の方へ入れてしまい、むせてしまった。 「ゲホッ、ゲホ。急に、なに言い出すのよ?」 「大丈夫? ……ただ、霧島さんは経験あるのかなって」 「私、一度だけあるよ」 「それって、相手は碇君よね?」 「……うん」 「そうなんだ。やっぱり」 「ねえ? こんなこと聞くなんて、もしかしてそーいうことになりそうなの? 相手、だれ?」 ヒカリちゃんは頬をさくらんぼのように染めると、ふふふっと笑って、ごまかした。 そんな笑顔がとってもかわいい彼女は、私の一番の友達です。