-外伝(1)-
今日はミサトさんが旧東京に出張なので、アスカと二人でお留守番。 「さて、鬼の居ぬ間に洗濯、と。何して遊ぼうか? そだ、みんなで仙石原にドライブに行こうよ。シンジやファーストやヒカリ誘って」 「ドライブって、誰が運転するの? 車は?」 「車はミサトのアルビーヌがあるじゃない。運転はもちろん、マナ」 「へ? 私、車運転できないよ」 「えぇ〜、マジぃ? マナってトライデント操縦できるよね?」 「できるよ。一応」 「飛行機もヘリも操縦できるんだよね?」 「うん。トライデントより簡単……かな」 「トライデントも飛行機もヘリも操縦できるのに車運転できないなんてナンセンスね〜」 「仕方ないよ。免許ないもん」 「やれやれ。ドライブは諦めて家でジトーっと過ごすか」 アスカは不承顔でゲーム機のスイッチを入れた。 「じゃ、今日はぷよぷよ大会ね♪」 もう、アスカったら、なんでもポンポン一人で決めちゃうんだから。
テレビの前に二人、ぺたりと座り込んでコントローラーを握る。 「ねえ、アスカ」 「何?」 「『黄ぷよ』って、頭が尖っててかわいいよね」 「……………………」 なぜか、無言のアスカ。 「あれれ、透明なのがいっぱい降ってきたよ。なんでかなー?」 「……………………」 「どうしたの、アスカ?」 「マナってば、下手すぎてつまんな〜い!」 「クェ」 さっきまでキッチンでビールを飲んでいたペンペンが、気がつくと背後にいた。 「ちょっと〜、コントローラー返してよ〜」 「クェッ、ククッ」 「いいじゃない、ペンペンにやらせてみましょ」 「クェッ」 床に置いたコントローラーのボタンをフリッパー(※)で器用に押すペンペン。 「すごーい、ペンペン。何で『折り返し』まで出来るの? ペンギンなのに」 「クェェェッ、クワッ!」 「出た! 11連鎖! "schönes wundervolles!"」 アスカとペンペンは、私そっちのけで盛り上がっている……。 むぅ〜。いいわ、私がペンペンの代わりにビール飲んでやる!! ※ マナマナの豆知識: フリッパーとは、ペンギンの持つ特徴的な器官で、 他の鳥類でいうところの翼にあたる部分です♪