-第五部-
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いつものように、シンジ、アスカ、それに私の三人で下校していると、 見覚えのある人に出会った。えっと、青葉さんだっけ? 「テンピンゆうたら千点一万円に決まっとるやんけ!」 「そんなぁ〜、僕はてっきり千点百円かと……」 ヤクザっぽいおじさんにからまれている。なにやらモメてるみたい。 「どうしたんですか?」 シンジが声を掛ける。さすがシンジ。勇気あるなぁ……。 「やかましい。ガキはすっこんでろい」 おじさんが凄む。 これにはアスカがカチンときたようだ。 「ふん、要は博打で負けた金払えって話でしょ。青葉さんとは知らぬ仲でもないし、 いいわ、あたしたちがかわりに払ってやろうじゃない」 と、アスカ。 「コイツが負けた金は50万やで。お嬢ちゃん、払えるんか?」 「払えるわけないじゃない。博打で負けた金は博打で取り戻してやるって言ってんのよ」 と、アスカは筋向かいの雀荘を指さした。 「ほう、そりゃ面白い」 おじさんは、ニタニタと不気味な笑顔を浮かべた。
「よっしゃ、勝負は半荘のみ、終わった時点で浮いてたらお嬢ちゃんの勝ちや。 そのときは兄ちゃんの借金棒引きにしたろ。せやけど、負けたときの覚悟はええんやろな?」 ヤクザのおじさんがいやらしぃ〜目でアスカを下から上へとなめ回すように見る。 うぅ、これはやばい。やばすぎるよ、アスカ! 「待ちなさい。そっちが出してくる面子はどうせグルなんでしょ。3対1なんて不公平だわ。 こっちから二人出すから、そっちからも二人出しなさい。いいわよね?」 アスカが啖呵を切る。 「なんの、もともとその兄ちゃん一人の負けを払ってくれっちゅう話や。 3対1でも不公平ってこたぁあらへん。 が、まぁ、ええ。お嬢ちゃんの度胸に免じて2対2にしたろ」 「それじゃ、こっちからはシンジとマナ。アンタ達が出なさい」 「えぇ〜、アスカが出るんじゃないの?」 「アタシは連中がイカサマしないか見張ってなくちゃいけないから、アンタ達が出るのよ」 うぅ、怖いよう……。