霧島マナの日記 鋼鉄のガールフレンド

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-第五部-
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戦月乱日その1

    陸海空自と戦自との戦闘はいよいよ激しくなった。
    もっとも、既に放送局等は両勢力のいずれかに占拠されてしまったようで、
    テレビ・ラジオは詳細な状況を殆ど伝えず、ただ自宅から出ないようにとのみ繰り返している。
    ではなぜ激しくなったと分かるかというと、実際に砲声が聞こえだしたからだ。

    考えてみると、ここ、松本駐屯地は重要拠点の一つ。
    攻撃目標になっていたとしても不思議はない。

    窓の外で2ストローク・ディーゼルエンジンの轟音が鳴り響く。
    騒音対策がまったく考慮されない軍用車両の稼働音は本当に凄まじい。

    ドーーン!!

    突然、地震のように天地が揺れ動き、窓ガラスがビリビリッと震えた。
    私の居る部屋のすぐそばで榴弾砲が発射されたのだ。

    ドーーン!!

    また、砲声! その強烈さは筆舌に尽くしがたい。
    耳を覆ってベッドに突っ伏す。

    その後も、幾度となく砲撃が繰り返される。

  「私……、震えてる………」

    なぜか、身体が自然と震えていることに気づき、そう独りごちた。
    戦自時代から常に死を覚悟してきたつもりだったのに。

    射撃の間隔はますます短くなり、無数の砲声が地鳴りのように響く。
    さっきまでのは試射で、効力射が始まったのだろう。
    それにしても、これほどの一斉射撃を浴びせなければならないとは、
    敵(私にとっては敵も味方もないけど)は一体どれほどの兵力なのか。

    なんで、こんなに怖いのかな……。自問自答してみる。
    答えは決まっている。大切な人に会えなくなるから。
    今は「いつ死んでも悔いはない」なんて言ってられないから。


    シーツに顔を押し当てたまま、何分間震えていたのだろう。
    気がつくと砲声は止んでいた。しかし、

    ―――突然、
    地震のように軽量鉄骨製の建物が揺れ、
    バリバリバリッと物凄い音を立てて天井が剥がされたかと思うと、
    青く晴れ渡った空が露わになった!

written by Adrienne ◆HI8ebVe8lo

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