霧島マナの日記 鋼鉄のガールフレンド

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○月3日

     新箱根湯本駅。
     私はこの時を待っていた。
     山向こうでは国連軍と使徒が戦っているんだろうけど、そんなことは二の次。
     今はもっと重要なことがあるのよ。
     ここまで練りに練った私の計画には一分の隙もないわ。
     うふふ、
     抑えようにも抑えきれない笑みがこぼれてしまう。
     早く来ないかなあ。
     と、そんなことを思いながら待っていると、不意にアナウンスが駅中に鳴り響いた。
    『○×:△□に到着の特急××号は非常事態宣言発令により、当駅より3キロ先の地点で停車い
    たしました。繰り返します……』
     ええっ!、そんな、なんてこと!
     私はダッシュで線路に沿って、走っていた。
     今回の私は超健康優良少女。
     これくらい何ともないわ。
     そして、数十分後、さすがの私も息が切れ切れだったけど、線路の向こう側から歩いてくる
    一人の少年を見つけた。
     私の胸がドッキンドッキンと高鳴ってくる。
     とうとう、ついに、ようやく、会える。
     私はその少年のところへ走っていき、とびっきりの笑顔を作った。
    「また会えたね。シンジ」
    「……」
     でも、シンジは不安げな表情で私を見るだけだった。
     何も言ってくれない。抱きしめてもくれない。どうして?
    「どうしたのシンジ?」
     と言って、私はシンジの両手を握った。
     けれど、シンジは頬を赤くして、こう訊いてきた。
    「あの、あなたは誰ですか? 僕とどこかで会ったんですか?」
     …… orz
     私、もうダメかもしんない

     よく考えてみれば、私は戻ってきているけど、シンジが戻っているとは限らないわけで。
     これには思いの外ショックが大きかった。
     姿形、声も同じ。遺伝子レベルで同じシンジだけど、私の知っているシンジではない。
     私の好きだったシンジはいない。
     私を好きでいてくれたシンジはもうここにはいない。
     ぐすっ、
     私は知らないうちに大粒の涙をこぼれ落ちさせていた。
    「どうしたの?」
     と、目の前にいるシンジはおろおろとしながら訊いてきた。
     その声に懐かしさはあれど、ますます自分の知らないシンジなんだと実感してしまい、ます
    ます涙の雨が激しくなっていくのだった。
     なんだか、頭上を巡航ミサイルが飛んでいったような気がする。
     使徒がこっちに向かっているのかもしれない。もうすぐここも戦闘区域に入るのかも。
     でも、もうどうでもいいや。私が戻ってきた理由が無くなってしまったもの。
     死んでもいい。そう思った。でも、
    「君が誰だかわかんないけど、ここから早く逃げよう」
    「シンジ君はひとりで逃げて。私はここに残るから」
    「えっ、逃げないと死んじゃうよ」
    「いい、もう死んだってかまわないわ」
    「駄目だよ! そんなこと言っちゃ。まだ会ったばかりだけど、そんなことになったら僕は……」
     と言うと、シンジは私の手をギュッと掴むと、そのまま走り出した。
     この手の感覚。それはシンジそのもので、でも、私の知っている手とは違っていて。
     それでも私はその手に懐かしさを感じていた。
     その後、いろいろあってネルフ本部に戻った時、使徒は零号機に倒されていた。

    人類補完委員会宛 報告書 霧島マナ
    ○月3日
     サードチルドレン碇シンジと接触成功。
     〜中略〜
     任務遂行上の障害は特に無し。以上