霧島マナの日記 鋼鉄のガールフレンド

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-M→R-

M→R(2)

    2015.08.05

     今日、病院を退院した。
     病院を出る時、ナースさんが花束を渡してくれて、なんかくすぐったいような
    もわもわするような、不思議な感じだった。
     退院と言っても、腕にギブスをしているし、他のところも包帯をしているし、
    鏡で見た姿は自分ながら大変だと思った。
     だからなのかもしれない。
     新しくワタシの上長となった葛城一尉が迎えにきていた。
     この軽そうなお姉さん(おばさん?)がこれからワタシに指揮を出すなんて、
    かなり不安。
     ちなみに、ワタシの属する組織が変わってしまった。
     なんでも某特務機関と一緒になってしまったのだ!!
     そんなわけで、葛城一尉もその組織の人なのでアール。
     やっぱり、これはあの起動試験大失敗の巻が原因なんだろうな。
     でも、それはワタシのせいじゃないし。
     ワタシにもワタシの事情があってblogをつけているんだし、その辺をみんなわかって
    ほしいと思う。
     って、なんだったっけ?
     そう、それからワタシは自宅療養ということで、部屋に帰って寝ていた。
     あと、突然だけど、住むところが引っ越しされていて、おんぼろアパートになってしまった

     この組織って、貧乏なんだろうか?
     先行き不安です。

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    2015.08.11

     相変わらず暇。
     blogをつける気にもならないほど暇。なんか矛盾しているみたいだけど。
     そんなんだからケイタイでネットゲームをしてみたけど、これにもすぐに
    あきてしまった。
     あと、今更だけどテレビジョンを買った。
     これが意外におもしろくって、徹夜で見てしまった。
     世の中にこんなにもおもしろい物があったなんて、今までのワタシはずい
    ぶんと損をしていたんだと、しみじみしてみたり。
     そんなわけで今日は昼過ぎまで寝ていたんだけど、電話のベルで起こされ
    てしまった。相手は組織の葛城一尉で、
    「あっ、寝てた? ごめんねえ」
    「……なんでしょうか?」
    「うん、これから実験するから来て。迎えをよこすから」
    「実験とは?」
    「それがさあ、直ったのよ、人造人間が。だから、今すぐ来て?」
     ワタシには何のことかさっぱりだったけど、次の瞬間には玄関に迎えの人が
    来ていて、そのまま秘密基地まで拉致連行されてしまっていた。

     で、結果としては、またもや気絶するような目に遭ってしまい、ワタシはまた
    天井を眺めている。

     今度は自分の部屋でだけどね。

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    2015.8.14

     それは突然だった。
     って、ワタシの身に降りかかることはいつも突然なんだけど、世の中の
    一大事が起こったのでアール。
     それは使徒とかいうわけのわかんない怪獣がここにやって来たのです。
     しかも、それだけならともかく、いえ、ともかくでもないんだけど、ワタシに
    アレと戦えという指示が来て、頭の中が大混乱しながらも、またもや迎えの
    人に拉致られてしまったのです。
     でも、秘密基地に着く前に、元いた組織が放つミサイルの流れ弾に当たって
    またもやワタシは大怪我をしてしまった。
     それなのに、あのヒゲあご司令は無表情に「発進」とか言ってくれちゃって、
    こんなの酷くない?
     でも、そんなことどうでもよくなるくらい良いことがあった。
     運命の出会い、と思いたくなるような碇シンジ君とあってしまったのだった。
     最初見た時は頼りなさそうな感じだったのに、ワタシを抱きかかえて
    「僕が乗ります!」
     と言ってくれたのよ。
     (たぶん、そう言ったと思う。意識が朦朧としていたからよく覚えていないけど)
     で、エヴァとか言う人造人間(どうやらロボットではなく生き物らしい)に乗って、
    使徒をやっつけてくれた。
     というのを、意識が戻った時、ナースさんに聞いた。

     身体中痛いところはいっぱいあるけれど、碇シンジ君の顔を思い出すと、
    すこしくすぐったいような気持ちになったのは不思議だった。

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    2015.8.15

     今さらだけど、blogとは何なんだろうと思って、手当たり次第に人気blogを
    読みあさってみた。……ますますよくわかんない。
     ともかく、日記みたいなのでもまったく問題ないということがわかっただけで
    も良しとしよう。

     それはそれとして今日はお盆。いくら怪獣が襲ってきたとはいえ、世の中は
    お盆休みということらしい。
     それでワタシもなにかお盆らしいことをしたくなり、ロケット花火を打ち上げようと
    思いたち、売店へ買いに行ったんだけど、途中の階段で転んでしまった。
     ワタシって、ちょっとだけおっちょこちょいなのよね。
     それで、治りかけていた腕の骨折がまた折れてしまい、緊急手術となってしまった。
     手術室に運ばれるベッドの上で涙をためていたワタシの目だったけど、途中で
    ハッと大眼になってしまった。
     だって、あの碇シンジ君がいたんだもん。
     ワタシは急いで口を開いたんだけど、「あっ」と声を上げるので精一杯で、すぐに
    碇シンジ君の横を通り過ぎてしまった。とーっても残念。
     それなのに、あーそれなのに、
     どうしてヒゲあご司令のところでは止まるんだろう。
     この人、ワタシになにか声をかけるでもなく、じっと見ているし。
     ちょっとキモイ。
     けど、そんなことはどーでもよくて、また碇シンジ君に会えるかなと、そんなことを
    思いながら、今日は寝ます。

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    2015.8.22

     今日はいいことがあった。それも二つも。
     一つはやっと学校へ行けたこと。もうかれこれ半年ぶりの教室はどこか
    楽しい感じがして、少し胸がわくわくするような気がした。
     そして、もう一つはあの碇シンジ君が同じクラスに転校してきたこと。
     なんかとってもラッキーで、ワタシはずっと碇シンジ君を見つめっぱなしだった。
     あ、そうだ、忘れないように、彼が自校紹介で言ったことをここに書いておこう。

     出身は東京都武蔵野市。
     趣味はえーと、言ってなかった。
     って、これだけ?
     うーん、恥ずかしがり屋さんなのかな。ワタシと同じだね。

     碇シンジ君とは席が離れてしまったけど、それでもワタシは満足。
     これからはいつも一緒のところにいられるんだもん。
     だから、いつか仲良くなれるかもしれないし。
     あ、そう、そう。碇シンジ君はワタシと同じ組織に入ったみたい。
     昨日、あの基地で訓練していたし。
     だから、ワタシたちはいつも一緒。

     ちょっとストーカー入って怖いかも。
     って、そんなことないない。
     だって、ワタシは恋しているだけなんだもん。


     恋?
     もしかして、初めての気持ちかもしれない。

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    2018.8.29

     今日、使徒が来た。
     碇シンジ君がやっつけた。

     2行で書くとすると、そんな一日だった。
     もう少しくわしく書くと、発端はワタシが昼休みにパンと牛乳を買いに行こうとしていた時、
    碇シンジ君がジャージとメガネに屋上へ拉致られるのを見てしまったことだった。
     もしかし転校早々にイジメ?とか思うと、心配でたまらず、その後を尾行していた。
     そして見たのは、なんか言い争いをしている碇シンジ君とジャージ男だった。
     ワタシは二人を止めに入ろうとしたんだけど、そんな時にケイタイのベルが鳴って、
    「使徒が来たわ。シンジ君をお願い」
     という葛城一尉の大きな声に足止めを食らった。
     ちょっとイラっと来たけど、ワタシは彼のそばに行って、
    「碇君、非常招集」
     と告げた。
     それから二人でネルフ本部へと向かったんだけど、その途中、
    「ありがとう」
     と、彼は恥ずかしそうに声を出した。ワタシは何のことかわからず、小声で、
    「……え?」
    「さっき、心配して僕の様子を見に来てくれたんだよね?」
    「どうして?」
    「うん、廊下を歩くのが見えたから。だから、ありがとう」
     そう言われて、ワタシは恥ずかしくなってうつむいてしまった。
     ワタシたちはとても近くに並んで歩いていて、ときどきぶつかるように触れる碇シンジ君の
    指先が、なんだかとても温かく感じた。

     と、そんな一日だった。
     あと、碇シンジ君がかっこよく使徒をやっつけたよ。

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    2015.8.31

     今日は月曜日。
     学校で会えると思って、少しドキドキしていたんだけど、碇シンジ君はお休みだった。
     この前の戦闘でケガでもしたのかな?
     でも、そんな様子はなかったし、ならカゼかな?
     それともネルフで訓練?
     それはありえる。
     でも、ワタシは今日は訓練がないし、仕方がないから部屋の中でテレビを見ていた。
     けど、なんだかあんまりおもしろくなかった。
     そんな時、ワタシはつぶやくように「碇シンジ君」と声を出してみた。
     ちょっと頬があつくなった。
     でも、なんだか少し他人行儀のような気がする。だから、
    「碇くん」
     と声を出してみた。これはいつもの呼び方だけど、やっぱり他人行儀。だから、
    「シンジ君」
     と言ってみた。
     その瞬間、ワタシの頬がすっごくあつくなるのを感じてしまった。
     だけど、ちょっと、いえ、とてもいい感じがする。
     もう少し冒険してみる?
     ワタシはホントに小声で、
    「シンジ」
     と言った。
     ダメ、本当にダメ。これは恥ずかしすぎる。ちょっとシンジ君には言えない。
     これはまだまだワタシには早いのね。
     というわけで、明日、彼に会ったら「シンジ君」と呼びかけてみよう。

     なんかドキドキしてきた。

     早く明日になるように今日はもう寝ます。

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