-第一部-
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私は今、葛城さんの家でお世話になっている。 と言っても、昨日から。 昨夜は訓練でアスカさんがいなく、葛城さんとシンジと3人で過ごした。 そして、今日の昼頃にアスカさんが帰ってきた。 アスカさんは私を邪険にするわけでもなく、 「ミサトから聞いてるわ。あんたも大変ね」 と言って、私がここにいることを認めてくれたようだった。 今までが今までだから、まだアスカさんとはぎこちないけど、近いうちに仲良くな れそうな気がする。きっと 夕食はすき焼きだった。 アスカさんのリクエストで関西風。 私は関東風の牛鍋が好きなんだけど、今はまだ我慢。 そして、シンジがお風呂に入っている時だった。 アスカさんに右手を引っ張られながら、部屋の中に連れ込まれた。 顔を真っ赤にしながらアスカさんは、 「この家で一番えらいのはアタシよ。わかる?」 「……うん」 「この家のものは全部アタシのもの。全部よ、全部。だから、アンタは……」 「……??」 「アタシのものには絶対に手を出さないでよ!」 と大声で言うと、私を部屋から追い出してしまった。 まさか、昨日、一つだけ残っていたプリンを食べちゃったのがバレたの? って、そんなことじゃないわよね。 たぶん、きっと、…… でも、これだけはアスカさんに譲れないわ。 勝負よ。アスカさん。