-第一部-
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私は無職の中学生。保護者はいない。 このまま葛城さんの好意に甘えていていいのかなと思っていた。 そんな時、夕食を前にいただきますと言う寸前、葛城さんが、 「マナちゃん。我が家の家訓に『働かざるもの食うべからず』というのがあるの。 シンジ君もアスカも一応、ネルフで働いている身分なのよね」 「……そうですよね。私もずっと気になっていました。明日、アルバイトを探します」 「うーん、そのことなんだけどね」 「……」 「マナちゃん。ネルフで働いてみない?」 「えっ、エヴァのパイロットですか?」 と、私は目を輝かせたが、 「いや、そうじゃないわよ。まあ、中学生だから、奨学生っていう身分なんだけどね」 一瞬、シンジたちと同じエヴァのパイロットになるのかとすっごく期待したんだけど。 「葛城さん、もしかして、戦自へスパイしろって言うんじゃ。私、嫌です。 もう、あんな仕事したくありません」 「いや、誰もマナちゃんにスパイなんて期待してないから。これっぽっちも」 と、とっても嫌そうな顔で葛城さんは言った。 周りを見回すと、なぜかシンジとアスカさんがウンウンと肯いていた。 それはともかく、私の得意なことなんてスパイ稼業と食べることくらいだし、 いったい何なんだろう。 う〜ん、謎ね。