-第一部-
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戦自のスパイだったのはもう過去のこと。今の私はネルフの一員。 と言っても、シンジたちみたいなチルドレンではない。 エヴァの訓練や怪獣との戦いなどで忙しいチルドレンをサポートするのが私のお仕事。 例えば、シンジたちが早退したり休んだりした時に授業のノートを取ったり。 今までは、逆にシンジからノートを見せてもらっていたりしたから、けっこう大変。 でも、おかげで勉強がよくわかるようになった。 今日も、シンジたちがネルフ本部で訓練している間に、ウチで家事をしていた。 掃除、洗濯に、お夕食の準備とまるでシンジの奥さんみたい。てへっ☆ ところで、シンジはブリーフ派なのよね。 ……う〜ん、なんだか頬が火照ってきちゃった。 と、まあ、そんなわけで、みんなが帰ってきてから遅い夕食をとっている時だった。 「マナちゃん、明日、ネルフの仕事で学校を休むことになるけど、いい?」 と、葛城さんが訊いてきた。 私はお味噌汁の塩加減を間違えたかなと考え事をしていたので、まぬけな声で 「ほへっ? 明日ですか? ……もしかして、使徒が来たんですか?」 「うーん、ちょっち違うかな。だいたい使徒が来たら、こんな風にのんきにご飯なんて 食べてらんないわよ。で、実はね。マナちゃん、トライデントって覚えている?」 「……あっ、あー。はい、もちろん覚えてますけど」 本当はすっかり忘れていたけど、ムサシの乗ったトライデントが まだ逃亡中だったのを思い出した。 「でも、最近、ニュースであまり聞きませんね。もう1ヶ月くらい前でしたっけ?」 「正確には36日前よ。そのトライデント、今は沖ノ鳥島付近で遭難しているのよね。 で、私たちネルフがエヴァで助けに行くというわけ。 マナちゃんにもちょっち手伝ってもらいたいのよ」 その瞬間、私の灰色の頭脳はもう回転を始めた。水着は何にしよう。お弁当も作った方がいいかな。 なんたって、明日はシンジと南の島で海水浴だもんね。