-第一部-
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横須賀から一昼夜かけて、私は今、大海原の上にいる。 空母オーバーザレインボウの甲板は広く、その真ん中にエヴァが横たわっている。 青いエヴァが。 「どうして、あなたがいるの?」 もう何度目かわからないほど、この問いかけを私は綾波さんにされていた。 そんなこと、私の方が言いたいくらい。どうして、シンジじゃなく綾波さんなの? 南の島でのロマンスはどこ? と、そんなことより私はもっと緊急事態に陥っていた。 「……うぷっ、」 「マナちゃん、大丈夫?」 「……ちょっとは慣れたけど、まだ少し……」 「あんまし揺れていないんだけどねえ。体質かしら」 と葛城さんは言うけど、私は船酔いで大変な状態だった。 シンジもいないし、もう帰りたい。 だいたい、ムサシがいるところまでヘリで来ればよかったのよ。 でも、シンジとずっと一緒だと思ったから来ちゃったのよね。ぐすん ところで、今どこだろうと思って、私は葛城さんに訊いてみた。 「あの、まだ沖ノ鳥島には着かないんですか?」 「あー、もう着いたわよ」 「えっ、どこ?」 「だから、この真下。セカンドインパクトで海面が上昇したでしょ。で、海の中に 沈んじゃったのよね」 ちなみに、ムサシのトライデントは抵抗することもなくエヴァに捉えられた。 私は出番無し。こんなことなら、シンジとデートしてればよかったよぅ。