-第一部-
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最近、気になる人がいる。その人は、山岸マユミちゃん。 友達がほとんどいないマユミちゃんが、シンジとだけは少し仲がいいことに 嫉妬を感じることもあるのだろうけど、それとは別にやっぱり気になってしまう。 マユミちゃんは本が好きみたい。 教室ではいつも本を読んでいるし、よく図書室へ行くのを見かける。 今日の放課後にもマユミちゃんが図書室へ入っていくのを見かけた私は、 偶然を装って、彼女の向かい側の席に腰を下ろした。 私たちは言葉を交わすこともなく、でも、 マユミちゃんは私のことが気になっているのかチラチラと盗み見していた。 「ねえ。その本、おもしろい?」 思い切って声をかけた私を、マユミちゃんは困惑の浮かんだ目で見る。 私はニコッと微笑んだが、マユミちゃんは黙って本へ目を戻した。 その後、会話を交わすこともなく、人気の少ない図書室は夕陽の朱に染まっていった。 不意に小さな声が聞こえた。 「どうして、私にかまうんですか?」 「えっ、どうしてって。うーん、やっぱり、友達になりたいからかな」 ちょっと照れ笑いを浮かべながら答えた私をマユミちゃんは驚いたよう表情で見ていた。 けれど、マユミちゃんはすぐに俯いてしまった。そして、 「霧島さんは私のことを何も知らないから。……私の友達は本だけでいい」 「どうして? 私のこと、嫌い?」 それからマユミちゃんはずっと黙っていたけど、とてもとても小さな声で、 「霧島さんは人を殺したことありますか?」 と言うと、図書室を出て行った。 私はマユミちゃんの言葉を頭の中で繰り返しながら、ずっと席に座り続けていた。
103 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2006/01/13(金) 01:47:33 ID:??? いまさらだが2ndインプレッション買うかな マユミがどういうキャラかわからん