-第一部-
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夕食後、みんなでニュースをぼんやりと見ていたら大学センター試験のことが流れていた。 今はまだ大学試験のことなんて実感はないけど、高校受験のことはなんとなく肌身に感じ るようになってきた。私の成績は悪い方じゃないけど、良いという方でもない。 みんなと同じ高校へ行けるかどうかちょっと不安。と、その時、ミサトさんが、 「センター試験なんて懐かしいわねぇ」 と呟いた。すかさずアスカが、 「ミサト、大学なんて出ていたの?」 「あら、失礼しちゃうわ。私、これでも第2東京大学を出てんのよ。東・京・大・学をね」 「えっ」「えっ!」「ええっ、」 「リツコの1っこ下なのがしゃくなのよね。先輩風をいつも吹かされるし」 「……」 「まあ、ついで言うと加持は2こ上よ」 「しんじらんない」 私が呆然とそう呟くと、ミサトさんはちょっと怒り顔で 「ナニよ、アンタたち。私はね、英語の教員免許も持っていんのよ。ドイツ語もペラペラだし」 「……確かに」 と、アスカが頷いた。ミサトさんは続けて口を開きかけたけど、ちょっと憂鬱顔になって、 「で、再来週の日曜なんだけど、大学の友達の結婚式に行って来るから、アンタたち、よろしくね」 「結婚式ですか?」 「そうなのよ。みんな、30前で駆け込み結婚しちゃって、……裏切り者」 ボソッとミサトさんは呟いた。 それにしてもミサトさんの知られざる一面がかいま見れて、なんというかビックリしちゃった。