霧島マナの日記 鋼鉄のガールフレンド

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-第一部-
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∠月K日

    今日の放課後、バンドの方向性についてミーティングがあった。
    言い出したのはアスカ。

  「アンタたち、おかしいと思わないの?」

    と、私たち全員に人差し指を向けてアスカは言い放った。
    それに答えたのはリーダー格の鈴原君で、

  「なんや? 惣流。わけわからへんで」
  「もう、アンタたち、本当に何のことかわからないの?」

    アスカにそう言われて、お互いに顔を合わせる私たち。
    でも、やっぱり誰もわからないみたいで、アスカはイライラを言葉に乗せながら、

  「アタシがどうしてギターなのよ?」
  「「「「へっ?」」」
  「だから、どうしてアタシがギターを弾かなきゃならないのよ?」
  「不満なの?」

    と、シンジは小首を傾げながら訊いた。

  「不満よ。もう大不満」
  「なんでやねん。リードギターを譲ってやったやろ。ワイはリズムギターでソロも無いんなやで」
  「ジャージは黙ってなさい」
  「なんやてー!!」

    いきり立つ鈴原君を必死で押さえる相田君はちょっとかわいそうだった。
    そんな時、綾波さんが、

  「私、コーラスよ」

    と小さく呟いた。なんだか綾波さんも不満そうだけど、アスカは全く気にせず、

  「ファーストはコーラスでじゅうぶん。文句を言うなんて1000年早いわよ。シンジ、
   アンタはキーボードよね。まあ、これはいいわ。相田のドラムもまあよしとして、マナ?」
  「私? 私はベースだよ」
  「そう。アンタは地味なベースがお似合いね。ふふん」

    と鼻で笑ったアスカにちょっとムッと来たけど、私は黙っていた。

  「問題は、アンタたち。ヒカリと眼鏡2号」

    そう言って、アスカさんは二人を指差した。急に名指しされた二人はビクッとして、

  「な、なに? アスカ?」
  「アンタたち二人、どうしてヴォーカルなのよ? もっと適任者がいるでしょうが。
   美しく、華やかで、人気があってバンドの顔として一番いい人が」
  「誰や?」
  「アンタ、ホントにバカねえ。ほら、目の前にいるでしょ。このアタシが」

    その瞬間、さっとアスカから眼を逸らす私たち全員。その様子に気づいたアスカは、

  「なんなのよ? 文句あるの?」
  「……」
  「なに? 言いたいことがあるならはっきり言いなさい。シンジ、言いなさいよ」

    シンジは本当に言うのを躊躇ったが、

  「……だって、アスカは……」

    その後、アスカが荒れたことは言うまでもなく、もう大変だったよ。