-第二部-
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今日はいよいよ音楽祭♪ クジ運がいいのか悪いのか、私たちのバンドはなんと大トリになってしまった。 シンジとアスカは危なげのない完璧な演奏。音感がいいのかな。 ヒカリちゃんとマユミちゃんのボーカルもいい感じ。二人とも意外に肝が据わってて、 ほとんど緊張の色が見られなかった。結局、一番アガってしまったのが私で…… 2、3か所トチっちゃった。でも、アセりながらも何とか最後まで演奏し終え、 音楽祭は無事幕を閉じた。 ……… …… … 会場の後片付けや何やらで暫し取り紛れた後、ふと気がつくと綾波さんの姿が見えない。 「さ、帰りましょ」 アスカがひょいと鞄を持ち上げて言った。 「待って、綾波さんがどっかに行っちゃった」 「あんなやつ、放っておきなさいよ」 「ダメよ。私、探してくる」
―――屋上。 「やっぱり、ここに居た」 綾波さんは、美しい横顔を夕日に照らされてひっそりと佇んでいた。 そして、軽く息を切らせながら傍に立つ私に気づいて、 「…霧島さん。……何?」 と、言った。 「みんなで一緒に帰ろうと思って探しに来たの」 「そう。先に帰ってもらってよかったのに」 「……………」 夕闇が迫り、生徒達の歓声も消えた校舎には寂寥感が漂う。 「ねえ、いつだったかのオナラ」 「えっ?」 「みんなでお芋食べたとき、誰かがオナラしたでしょ」 「ええ……」 「あれ、あなたでしょ」 「私だって、オナラくらいするわ……」 「やっぱり。シンジが急に自分がしたなんて言うからピンときたの」 「……………………」 「少し…妬けちゃうな……」 「えっ?」 「さっ、帰りましょ。アスカ達が待ってるわ」 私は綾波さんの手を引いて駆けだした。