-第三部-
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「オーッス、シンちゃん、ひさしぶり」 約束どおり、シンジが来て夕食を作ってくれた。いつぞやの思い出料理、ギョーザ。 ミサトさんと私、そしてアスカで大喜びして食べる。 夜。みんなで花火を見に行く。シンジ、私、アスカ、そしてもちろん綾波さんも。 アスカが行楽を計画するときは必ず綾波さんも呼ぶことに決めているようだ。 たぶん、抜け駆けしたと思われたくないからかな。 あるいは綾波さんに勝つ絶対の自信があるのかもしれない。 いずれにしても、プライドの高いアスカらしい。 でも、私だって負けるわけにはいかないんだから。 この前買った浴衣を着ていく。着付けは、本を買ってきてアスカと猛練習の末、マスターした。
川縁の土手に左からアスカ、シンジ、私、綾波さんの順で陣取る。ようし、シンジの隣ゲット。 綾波さんごめんね、と右の方を向いた途端、パッと煌めく花火の光に彼女の顔が照らされる。 あまりの美しさに、思わず息を呑んでしまった。 そして、またもやちょっぴり落ち込む。彼女は神々しいまでに「美しい」のに比べて、 私はどんなに頑張ってもせいぜい「かわいい」のレベルだもんね。 「どうしたの、霧島さん」 「えっ?」 「なんだか元気がないみたい。大丈夫?」 「ううん、なんでもないの。心配してくれてありがと」 「………………………」 「………………………」 しばしの沈黙。 「あなた、ギョーザ食べたでしょ」 「えっ? うん。食べたけど。分かる?」 「ええ。……ふふっ」 綾波さんがなんとも言えない表情で微笑む。 「もうっ、いじわる」 「この前はありがとう」 「えっと、なんだっけ?」 「看病しに来てくれて」 「ああ、あれね。どういたしまして!」 ……綾波さんの美貌はちょっと罪作りだけど、綾波さん本人には罪はないんだよね。 私は妙に納得した。
綾波さんとは途中でお別れ。シンジは今晩うちに泊まるわけだから、当然一緒に帰宅する。 帰ってくるなり、アスカが、 「汗かいちゃった。お風呂入りたーい」 とのたまう。 「どうぞ。でも、こういうときは殿方から先に入れるものよ」 とミサトさん。シンジが先に入ることになった。 アスカは日本の馬鹿馬鹿しい風習とかなんとかぶつぶつ言っている。 ところが、シンジは風呂場へ行ったかと思ったらすぐに戻ってきた。 「お風呂、水じゃないですか」 「あ、ごめーん。沸かすの忘れてた」 「そ、それに……」 「それに?」 「いや、なんでもないです……」 シンジ、顔が赤い。 「あ、ごめーん。あたし達の下着も干しっぱなしだったわ」 ミサトさんが悪びれずに言う。 「大中小のブラが並んでるの見て興奮してたんだ。いやらし〜」 アスカがからかう。 もうシンジったら、大中小のブラが並んでるのを見て…… って、「小」が私? …………orz.