-第四部-
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ニュースによると、先のクーデターにショックを受けた政府は、 反乱軍と関わりのあった戦自幹部を洗い出し、全て更迭するとともに、 改正法案を国会に提出し、シビリアンコントロールを強化しようとしている。 ここから先は私の想像だけど、 危機感を強めた戦自が切り札として使おうとしているのが、 アスカの乗るエヴァンゲリオン弐号機ではないだろうか。 この仮説を補強する材料として、 最近、戦自研がついに弐号機へのS2機関搭載に成功したことが挙げられる。 本来は最重要機密の筈だけど、先日、温泉でリツコさんが教えてくれた。 MAGENと戦自研とは多くの技術者を交換しているので、そういう情報も入ってくるらしい。 (彼女は純粋に技術的に興味があるだけ、と言っていた) ミサトさんの話では、半永久的に活動でき、 しかも通常兵器によって破壊不可能なエヴァンゲリオンは、 世界のパワーバランスを崩しつつあるという。
「あたし、筑波の戦自研に行くことにするわ」 そんな中、ついにアスカは戦自のテストパイロットの件を受けることを決めた。 「ミサト、マナ。今までお世話になったわね。さようなら」 「向こうで部屋借りるんなら、保証人とかいるんじゃないの?」 「大丈夫。しばらくは宿舎に入るから。身一つで来いって言われてるの」 「アスカ……、本当に行っちゃうの?」 私は、アスカと別れるのが悲しいのはもちろんだけど、 アスカが、人を殺すための「兵器」となったエヴァに乗ることにも違和感がある。 「もう決めたの。あたしの荷物は処分してちょうだい。それじゃ、飛行機に遅れるから」 こうして、私たちの共同生活は、あっけなく終わりを告げた。