-第四部-
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今や、世界に暗雲がたれこめている。 アメリカ・中国の連合軍は、 「日本は現存する唯一のエヴァンゲリオンを保有し、世界征服を企んでいる」 との主張を始めたらしい。 ミサトさんは国連軍事参謀委員会に出席するためニューヨークへ飛んだ。 (国連安保理の常任理事国である日本は国連軍事参謀委員会に代表を送っており、 ミサトさんはその副官だ。現在、国連本部は日本に置かれているが、 軍事参謀委員会はニューヨークで開かれる。 日本の軍事力突出に対する国際社会の目は厳しく、委員会では四面楚歌だという) せっかく、使徒という人類の敵が消えたというのに、 今度は人間同士が争い始めるなんて……。 しかも、その争いの種がアスカの乗る弐号機だと思うと、 胸が張り裂けそうになる。 あれから、3ヶ月。アスカは一通の手紙も電話もくれない。 大人に囲まれ、エヴァンゲリオンの部品の一つとなることを求められる生活。 今のアスカが幸せな筈がないと思う。 それだけじゃない。 ニュースは連日、エヴァンゲリオンが国際危機の原因となっていることを伝えている。 もしかするとアスカの身が危ないのではないか、 そう考えると、いてもたってもいられなくなる。