-第四部-
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私の抜け殻が日本に戻ってきた。 日本のあちこちが焼け野原になったと聞いたけど、 第三新東京市及び幾つかの主要都市だけは、 鉄壁の迎撃ミサイルシステムのお陰でほぼ無傷だ。 ミサトさん宅までの道のりで何度もため息をついては立ち止まり、 ようやく帰り着いたのは、日もすっかり暮れた頃だった。 玄関の明かりがついている。 ミサトさんはもう帰ってきてるみたい。 「ただいま……」 「お帰りなさい」 私を迎える明るい声。玄関にはたくさんの靴。 そこにはなんと、ミサトさんだけでなくシンジ、アスカ、綾波さん、 そして、リツコさんまでが居た!! 「みんな……………!?」
あの自爆の映像は合成で、あらかじめ作られたものだった。 ただし、エヴァ3機が全て破壊されたのは本当。 「びっくりしたわよ。いよいよと思って目をつぶったのに、全然爆発しないしさ。 で、恐る恐る目を開けたらエントリープラグが強制排出されちゃって」 つまり、映像が砂嵐になった時点ではまだ爆発していなくて、 数分後、脱出完了してから爆発したのだった。 映像は時間表示を細工して世界に発表され、厭戦ムードを作り出すのに一役かった。 特にアスカの最後の言葉は世界中の人々の紅涙を絞ったという。 こうして、世界にエヴァとチルドレンは永久に失われたと思わせ、 エヴァを巡る争いに終止符を打とうとしたわけ。 筋書きを書いたのはシンジのお父さん。 そして、リツコさんやマヤさんがその意に従って動いていたらしい。 「黙ってて本当にごめん」 「ひどいよ、シンジ………ひどいよ…………」 言葉で表しようのない熱いものがこみ上げて来る。 「シンジ君とレイを責めないであげて。味方をも欺くのが作戦の中核だったの」 「そうよ、マナ。それに、あたしなんかすっかり死ぬと思いこまされて、 こっぱずかしいこと口走っちゃってさぁ。もう、いい面の皮よ。 それに比べたらあんたなんかまだマシよ」 私たちは、泣きながら抱き合った。 今後、シンジ・アスカ・綾波さんの三人は名前を変えて別々の街に移り住むという。 「仕方ないのよ。世界中で死んだと思われちゃってるもんね」