-外伝(1)-
「ただいま〜」 今日は日直でちょっと遅い帰宅。 ん、この男物の靴は加持さんかな? 「ちょうどいいところに帰ってきたわ、マナちゃん。 麻雀しよ、まーじゃん。面子が一人足りないの」 と、いうわけで私とアスカ、それにミサトさんと加持さんとで 麻雀大会と相成った。 「点5なんてかったるくてやってられないわ。 今日は点ピンでいきましょ。いいわよね、ミサト」 アスカはお小遣いを増やすチャンスとばかりに張り切っている。 でもね、アスカ。減ることもあるんだよ………。 「望むところよ」 ミサトさんも自信満々。 「まいったなぁ、こりゃ。ま、お手柔らかにな」 加持さんは弱気なフリをしているけど、一番強そう。 うーむ、これは厳しい戦いになりそうね。
一半荘目、ラス。その後三半荘三着・ラス・ラス……。 マズい、マズすぎるよ! お小遣いなくなっちゃう。 加持さんが、カチャ、カチャッと手慣れた様子で牌を並べながら、 シュボッと格好良く煙草に火をつける。 もう部屋中煙だらけ。格好いいけど煙いよ加持さん……。 他の男が同じことするとアスカにぶっ飛ばされるだろうけど、 アスカは、加持さんにだけはなにも言わない。 煙いし、和了れないしで涙目になりながら打ち続ける。 ………ん? ふと気がつくとかなりいい感じの配牌な気がする。
こ、これはもしかして!?
「ロン!!」 数順後、ミサトさんが一索を捨てたのを見逃すわけもなかった。
「四暗刻・清老頭です」 「「「どひゃ〜」」」 のけぞる3人。 ミサトさんには悪いけど、これで一気に挽回。 私はトップになった。バンザーイ。 「あちゃぁ〜、今日はイケると思ったのに」 口惜しそうなミサトさん。 「こりゃ、例のやつはお預けかな?」 加持さんがよく分からないことを言う。 「なんの、勝負は下駄を履くまで分からないわよ〜」 と、ミサトさんが袖をまくる。 「なに、なに? 何の話?」 アスカが興味津々で尋ねるが、 「大人の話よ」 と、はぐらかされてしまった。 なぜかアスカは怒ったような恥ずかしがるような、妙な表情になる。 その後私はツキにツキまくり、終わってみると私がトップ、 アスカが二着、加持さんが三着、ミサトさんが四着だった。
「むき〜、もう寝る」 ビリになったミサトさんはふてくされて寝床へ入っていく。 なんだか、ほんとにミサトさんに悪いことしたみたい。 「俺も帰るよ。またな」 「え〜、帰るの? 泊まっていってよ、加持さん」 加持さんを引き留めるアスカを尻目に、私は今日の稼ぎを勘定する。 しめて\35,000也。いひひ、儲けちゃった♥ それにしても、ミサトさんと加持さん、お金以外に何か賭けてたのかな? なんだか知らないけど、急にミサトさんとアスカの機嫌がわるくなって、 針の筵だよ……。ぐすん。