-第五部-
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私の勾留は三日目になった。 どうやら、戦自あがりで「ただ者ではない」私は、 先のテロリスト達の一味と思われてしまっているらしい。 とにかく、取調べでも何でもやってもらって早く誤解を解きたいのだけれど、 どういうわけか、肝心のその「取調べ」がいつまで待っても始まらない。 暇をもてあましつつ、いろいろと考えてみる。 まず、テロリストの一人が持っていた拳銃。 あれは、SIG SAUER P226だった。 流通が厳しく制限されている軍用拳銃をテロリストがどうやって手に入れたのだろう。 もう一つ。あのとき警察に通報したのがシンジでなかったとしたら、一体誰だったのか。 確かに、私以外にもあの晩の不審な発光信号に気がついた人はいたかもしれない。 しかし、警察が到着したタイミングといい、警官の人数といい、出来すぎだった気がする。 ましてや、あの時、市内の電話は不通、無線はジャミングされていたのに……。 そして、最大の疑問。なぜあの警官達は私を警察署ではなく自衛隊駐屯地などへ連れてきたのか。 仮に自衛隊が私の身柄を要求していたとしても、まずは警察署に連れて行かれ、 しかる後に一定の手続きを経てここへ連れてこられるのが筋のはず……。