-外伝(2)-
毎年、2月14日直前になるとバレンタイン・セールと称して 過剰包装されたチョコが異常な高値で売られている。 その点、私に抜かりはない。1月のうちに義理チョコ用に安いやつを大量に買っておいた。 あとは、本命、シンジに渡すチョコを手作りするだけ。頑張れ、私! 材料の板チョコやアンゼリカの砂糖漬け、粉砂糖などを持って台所へ向かう。 と、そこには同じく板チョコを抱えたアスカの姿があった。 むぅ〜、考えることは一緒か……。 私たちは無言で視線の火花を散らし合った後、おもむろにチョコ作りを始めた。 ……… …… … 「ふーん。"Love Sinji"ねぇ」 アスカが私のチョコを覗き込んで苦笑しながら言う。 「アスカだって、シンジにあげるんでしょ?」 「さぁ、どうかしらね」 どうかしらね……って、とぼけてもバレバレなんだから。 「まったく、女の子が男にチョコをあげるなんて、ヘンな風習よね」 「ドイツではチョコ渡さないの?」 「渡さないわよ。それにプレゼントって男から女にするもんでしょ、普通」 へぇ、そうなんだ。 でも、口では不平を言いながらもしっかりチョコ作りにいそしむアスカ、カワイイ♥ ……などと和んでる場合じゃないわ。 アスカ、明日は勝負よ!