-外伝(2)-
夕暮れ間近。 私たちはちょっと小腹が空いたので、キッチンで梅酒をいただいている。 「あー、おいし♪」 なみなみと注いだタンブラーを傾け、一気に呷るアスカ。 「お酒も美味しいけど、この梅がまた甘ずっぱくていいのよ♥」 と言いながらガラス容器の中からお箸で梅をすくっては、はぐはぐと食べている。 「最近、むやみにすっぱい物が食べたくなるのよねー」 ……って、アスカ、その言い方誤解を招くよ………。 はぐはぐ。はぐはぐはぐはぐ………いや、いくら何でも食べ過ぎじゃ? 「そんなに食べると酔っぱらっちゃうよ」 心配になって声をかける、が、 「大丈夫よ、アタシ、お酒には強いのっ」 と、全く意に介さない様子。しかし、口調からして既にほろ酔いみたい。 ま、それはさておき、私もおなかが減ってきちゃった。 でも、今日の食事当番であるミサトさんは一向に準備を始めようとしない。 仕方がないのでおそるおそる聞いてみる。 「あの、ミサトさん……? お夕飯の準備は?」 「うーん、なーんかメンドクサイわねぇ。そだ、店屋物を取りましょ」 はぁ、またですか……。 「よーし、そうと決まれば善は急げよ。電話するから注文言って」 アスカは、代赭色の髪をなびかせて振り返ったかと思うと、 ウルトラマリンの瞳を輝かせながら言った。 「アタシ、うな重!」 アスカ、それ食い合わせ……、いや、外人さんだから大丈夫……かな?