霧島マナの日記 鋼鉄のガールフレンド

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-外伝(2)-

戦月略日

    シンジ、今頃なにしてるかな……。
    日曜日の午後、私はぼんやりと自室のベッドに寝そべってシンジのことを考えていた。
    前にも書いた通り、私は今ミサトさんの家に居候中。シンジの部屋だったところは
    私の部屋となり、現在彼はお父さんと一緒に暮らしている(>>283)。
    本当はもっとシンジとの同居生活をエンジョイしたかったのにな。
    でも、ま、いいや。どうせ毎日学校で会えるもんね。

    ………学校、で嫌なことを思い出した。明日は読書感想文の提出日なんだっけ。
    ちなみに、私が選んだのは「ジャネット・愛の軌跡」。
    もう読み終わったからあとは書くだけ。とはいえ、2000字も書くのは結構大変そう。
    とりあえず机に向かい、PC のスイッチを入れる……と、
  「ピコッ♪」
    着信音と共にアスカから IM が。

  『 ASUKA>BoMA 』

    BoMA とは、今私たちの間で流行っている、
    リアルタイム・ストラテジー・ゲーム・Battle of Medieval Age のこと。
    つまり、BoMA で遊ぼってことね。よーし、望むところよ。
    実は、つい先日コレでアスカに大敗して以来、密かに猛特訓しているのだ。
    ストラテジー・戦略と言えば戦略自衛隊。戦自と言えばこのマナちゃん。うんうん。
    負ける訳にはいかないもん。
    私は早くもゲームを立ち上げながら、IM に返信した。

  『 MANA>Roger that. 』

    まずは文明を選択。むむ、やはりアスカは「チュートン」を選んできた。
    私は「日本」にしよっと。

    さて、戦いと言ってもゲームの序盤はとても地味。
    画面の中をちょこまかとうろついている人々に資源を集めさせたり、
    新しい技術の開発を命じたり。
    練習の成果か、マウスさばきがいつになくスムーズ。
    それに、なんだか羊がいっぱい居るし。らっきー♪
    約10分で領主の時代に進化。うん、上出来、上出来。

    でも、基本的に、「内政」のきめ細かさや進化のスピードでは
    ゲーム上級者のアスカにかなわないので、私は持ち味の「戦術」を駆使しないとね。

    というわけで、敵の資源採集を妨害しちゃおっと。いひひ。
    進化は少し後回しで、射手をたくさん作っては村人を一網打尽☆
    射程を持ったユニットは早期の攪乱作戦には最適みたい。
    これで、アスカは相当な痛手を被ったはず。うひひ。
    一方私はほとんど無傷。ちょっと進化が遅れてるけど、大丈夫よね。
    よし、これより、長期不敗の政戦態勢を整えつつ、 機を見て積極策に転ずることにする。

    と思った矢先、「プオォー♪」と不吉な角笛の音。えっ、なに、なに!?

    いつの間にか我が栄光の都市「京都」は、チュートン軍の
    重騎兵×20・遠投投石機×5に包囲されていた……。早ッ!
    軽装の射手でプスプスやるけどまったく効果なし。
    やはり、戦争は戦術より物量……なのね………。
    他の都市もみるみる間に灰燼に帰していく。
    あーあ、負けちゃった。つまんないな〜。
    それに今から宿題やらなくちゃいけないし。どんより。


  「たっだいま〜」
    ちょうどその時、ミサトさんが帰ってきた。
    玄関まで出迎えに行く(居候の身だし、家主は大切にしないと)。

  「お帰りなさーい。あれ、アスカも一緒だったの?」
  「ええ。ちょっと映画見に、ヒカリとね。ミサトとはたまたま帰りに会ったの」

    ふーん、そうなんだ。私を置いて映画に………ん?
    それじゃ、今私と戦ってたのは誰!?

  「クェ」
    ふと気がつくと、さっきまで見かけなかったペンペンが、
    居間で嬉しそうにヒレをパタパタさせている。

    まさか……ね?

written by Adrienne ◆HI8ebVe8lo

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