霧島マナの日記 鋼鉄のガールフレンド

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○月10日

     けだるい午後の授業。
     数学の授業をしていたのになぜか今は歴史の話をしているお爺ちゃん先生。
     セカンドインパクトがうんたらなんたらと言っている。
     みんな知っていることばかりで興味を引くものは特になかった。
     そう言えば、サードインパクトって何だったんだろう。
     前の時、戦自の上官は使徒とネルフ本部の地下にいる何かが接触すればサードインパクトが
    起こると言っていたけど、やっぱりそういうことだったのかな。
     まあ、よく考えてもわかんないし、どうでもいいや。
     どうでもいいついでに、もう学校の方もどうでもいい気分。
     前の時はずっと駐屯基地に軟禁状態だったから、ただ学校へ行くそれだけのことでうれしかった
    けど、今はとてもそんな気分じゃないし。
     それに私、あまり友達を作るのが上手くないし。
     以前もクラスの中で話していた人ってシンジとアスカさんくらいだったような。あとは、鈴原君に
    からかわれて泣かされたことくらいしか覚えがない。
     あ、でも、それで気が楽っていうこともあるかな。仲がよかった友達がみんな、私のことを知らな
    いというのも寂しすぎるから。
     なんてことを考えていたら、いつの間にか眠っていたみたいで、

    「マナ、掃除の時間だよ」

     と、私はシンジ(私の中では別人)に肩を揺さぶられて目が覚めた。
     人差し指で目をこすりながら、

    「もうそんな時間なの?」
    「そうだよ」

     とシンジは言ってからクスッと笑った。

    「マナ、口からよだれがこぼれてる」
    「あっ、」

     やだっ、恥ずかしい。
     私はシンジから思いっきり顔をそらすと、急いでハンカチでよだれを拭いた。
    「もう、シンジ君のばか。女の子に普通そんなこと言わないもんだよ。知らない振りをしてくれなきゃ」
    「え、うん。ごめん。……でも、誰かが教えてくれないと、マナがみんなに笑われちゃうんじゃない」
    「そうかもしれないけど、恥ずかしいものは恥ずかしいのよ」
     私は席を勢いよく立つと、急いで当番なっている理科室の掃除へ向かった。
     今のちょっと楽しかったなと思いながら。

     放課後になって、私たちはエヴァの訓練をしていた。
     今日は私にとって初めての零号機の起動試験。
     赤木博士の話では零号機は試作機としてパイロット適性に汎用性を持たせているから、私でも
    シンクロできる可能性があるとのこと。事前のシミュレーション試験では零号機を動かすことくらい
    はできるようだった。そして、試験が始まり、
    『パイロット、零号機と接続開始。パルス及びハーモニクス正常。シンクロ問題ない』
     エントリープラグのスピーカーから聞こえる音声は順調という感じなのかな。
     徐々にシンクロ率が上げっていく。
     なんだか身体が溶けていくような気もする。
    『0.3, 0.2, 0.1, ボーダーラインクリア。零号機、起動しました。引き続き連動試験を入ります』
     よかった。
     ちょっと一安心。
     その後、たくさんの試験をしてから私は家に帰ると、すぐにベッドに入った。
     なんか疲れちゃって、めんどくさかったけど、ふとんの中で眠い目をしぱしぱさせながら、今日の
    日報をつけてから眠りに落ちた。


    ○月10日
     本日、零号機の起動試験に成功。
    以上