霧島マナの日記 鋼鉄のガールフレンド

鋼鉄のガールフレンド攻略 | 碇シンジ育成計画攻略 | サイトマップ

-plot239-

×月15日その1

     眠気を誘う午後の空気。
     日直の子が司会する帰りのSHRを頬杖つきながら見ていた私はあくびを小さくした。
     ちなみに今日の日直は相田君だったけど、そんなことはどうでもよくて、もう一度あくびを
    してから、誰にも聞こえないような声で呟いた。
    「ドーナツ、食べたい」
     と、
     やがて、さよならの挨拶が終わり、教室の中が騒がしくなっても私はまだ席に着いたまま
    ぼうーっとしていた。
     しばらくして、視界の片隅にヒカリちゃんの姿が映って、
    「マナ、帰ろう。今日はエヴァの訓練はないんでしょ?」
     との声がかかってきた。
     私は相変わらず頬杖をついたままその質問には答えずに、
    「ドーナツ分が足りない」
     と、ポツリ呟く。
    「……ドーナツ分?」
    「うん。血液中のドーナツ成分が足りないの。あまりに足りなくなると干からびて死んちゃうだよ」
    「……」
    「……」
    「はい、はい、漫画の受け売りはそこまでとして、ドーナツが食べたいのね、マナ?」
    「うん、とーっても」
    「わかったわよ。じゃあ、私もミスドに付き合うから、早く行きましょ」
    「ほんとー!?」
     私はそう大声を上げると、急いで鞄の中へ教科書やノートをしまい始めた。
     そして、鞄を持って立ち上がった時、私の横を綾波さんが通り過ぎようとしていたが、
    「レイちゃーん」
     と呼び止めた。
     レイちゃんはパタッと足を止め、
    「……レイちゃん?」
     と、小首を傾げた。

     私も同じように僅かに頭を傾けて、
    「ん?」
    「……何?」
    「レイちゃんも今日は訓練ないでしょ?」
    「ええ、」
    「じゃあ、これからミスドへドーナツを食べに行くんだけど、レイちゃんも一緒に行こう?」
    「私はいい」
     と、レイちゃんは即答した。
     けれど、私は知っている。レイちゃんの”いい”は”嫌”といのと違うをことを。
     ニュアンスとしてはめんどくさいに近い感じ。
     無理に連れて行っても、なんとなく楽しんでいるようなことが多いのだ。
    「えー、一緒に行こうよ。ヒカリちゃんも行くんだよ」
    「洞木さんも?」
    「そう。それに新作もチョー美味しいんだって」
    「……私、ドーナツを食べたことない」
    「えー、じゃあ、行こうよ。抹茶あずきリングを食べなきゃ」
     これまでの付き合いでレイちゃんが和食・和菓子系を好きなのはもう判明済み。
     レイちゃんはしばし黙って私を見ていたけど、
    「いいわ。行きましょ」
     と小さく言った。
     私は小さく微笑んでからヒカリちゃんへ振り向いて、
    「ねえ、レイちゃんも一緒に行くって。いいでしょ?」
     と言ったが、ヒカリちゃんは窓側の方を見ていて、
    「えっ、あ、うん。いいよ」
     と慌てたふうに答えた。
     どうしたのかと思って、ヒカリちゃんが見ていた方へ視線を向けると、そこにはシンジ君と
    一緒にいる鈴原君や相田君の姿があった。
     って、そういうことか。
     私はヒカリちゃんへ微かにニヤッと笑みを送ってから、

    「シンジく〜ん、」
     と手を振って声をかけた。
     何?と言うような顔をする彼に私は手招きしながら、
    「ねえ、これからみんなでミスドへ行くんだけど、シンジ君たちも一緒に行かない?」
    「う〜ん、これからトウジたちとゲーセンに行くんだけど」
     と、そばに来たシンジ君は答えた。
     すると、彼と一緒に私たちの方へやって来た鈴原君が、
    「そやで。シンジはワイらと一緒に遊びに行くんや。霧島の誘いなんかお断りや」
    「そうなの、シンジ君? せっかくレイちゃんも一緒に行くんだし、私たちチルドレンの仲を
    深めるいい機会だと思うんだけどな」
    「えっ、綾波も来るの?」
     とシンジ君が訊くと、レイちゃんはコクンと小さくうなずいた。
     そして、彼は鈴原君へ振り向くと、
    「トウジ、今日はゲーセンへ行くのやめて、みんなと一緒に行かない?」
    「なんや。シンジ、裏切るんかいな?」
    「そういうわけじゃないけど」
    「鈴原君も行こうよ。ゲームにお金を使うより、よっぽどいいと思うよ。おなかもいっぱいになるし。
    ねっ、ヒカリちゃんもそう思うよね?」
     ヒカリちゃんはドキッと肩を小さく震わせると、
    「えっ、う、うん」
     と答えた。
     私はそんなヒカリちゃんがおかしくて笑いたくなるのをぐっと我慢しながら、
    「相田君も来るよね?」
     と訊いた。
     相田君は声を出して答える前に何度も大きく首を縦に振り、
    「当然、行くさ」
     と言った。
    「残ったの鈴原君だけだよ。どうするの?」
    「うー、しゃあない。行けばいいんやろ。行けば。ほな、行くで、シンジ」

     私はまた横へ振り向き、うれしそうな顔をしているヒカリちゃんを見てニヤッとしてしまった。
     そんな私に気づいた彼女は早口で、
    「ほら、マナ。早く行きましょ」
     と言って、教室の出口の方へ歩き始めた。
     私はレイちゃんへ目配せをして、クスッと小さく笑ってから、
    「シンジ君たちも行こう」
     と言った。
     放課後の空気はどこか楽しげな匂いに満ちているような感じがした。