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前の時、私がテストパイロットとして関わっていた戦自のトライデント計画。 そのために私は内臓を壊し、ムサシは脱走して最後には死んでしまった。あと、もう一人、 えーと、……あ、ケイタも脱走して大ケガをしたんだった。 と、そのトライデント計画がどうなっているのか、ずっと気になっていたんだけど、 「戦自のアレ、発案段階で没になったらしいわね」 と、葛城三佐と赤木博士の雑談の中で耳にした。 要約すると、JAが廃棄されたし、もともと全高数十メートルの巨大ロボットなんてミサイ ルの的になるだけで役に立たないのが目に見えているからだということらしい。 宇宙空間ならともかく重力の影響を受ける地上ではまともに動けもしないとのこと。 だったら、前の時も計画を破棄して欲しかった。 いったい、あの時の私たちはなんだのかと、しばらく鬱状態に私はなっていた。 それから幾日かが過ぎた頃、エヴァ四号機がようやくアメリカから移送されてきた。 機体チェックに数日間をかけた後、ネルフ本部内で起動試験を行うこととなった。 私が試験に挑むのはもちろんだったけど、最初に乗って起動させるのはレイちゃんだった。 零号機や初号機とはコアも違うし、レイちゃんにはほとんど起動できる可能性もないけど、 まずは試験に慣れているレイちゃんで試してみるということらしい。 結果は、無事に起動成功。四号機とのシンクロ率も30%を超えて初めてにしては上々の結果 だったようだ。 これには赤木博士も予想外のことだったようでとっても驚いていた。 その後、四号機から降りたレイちゃんと会ったけど、 「どうしたの? なんだか難しい顔して?」 「……よくわからない。四号機とシンクロした時、零号機とも初号機とも違い感じがしたわ」 「当然でしょ。作った場所もコアも違うんだし」 「そう、そうだけど。……やっぱり、よくわからない。不思議な感じがしたわ」 「ふ〜ん、私が乗ってもそんな感じがするのかな?」 「……わからないわ」 と、レイちゃんとそんなやりとりがあって、私が四号機に乗る番となった。 私はエントリープラグの中に入り、操縦桿を握る。 『第一次接続開始』 『パイロット、四号機と接続開始。パルス及びハーモニクス正常。シンクロ問題無し』
『絶対境界線まであと1.0、…0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、ボーダーラインクリア』 『四号機、起動しました。四号機とのシンクロ率、46%です』 初めてにしては高いシンクロ率、それは私にもわかった。 でも、それよりも気になっていることがあった。 レイちゃんも言っていたけど、四号機とのシンクロはどこか不思議な感じがしていた。 零号機のような無機質な、それでいて時々制御不能になりそうな不安定な感じでは なく、もっと安心するような、心が落ち着くような、心地よい感じだった。 なんだろう? 懐かしい感じがする。 その後、連動試験などをした後、特に重大な不具合は発生しなかったとのことで、 今日は終わりとなった。 緑色に塗装された四号機は目も二つで初号機に形が似ている。 これから私が乗って戦う機体。 使徒との戦いに不安もあるけど、この四号機を見ているうちに何とかなるかも思い始めていた。 △月28日 〜中略〜 今は特に問題もなく順調です。